高校生の時に家のカギを忘れてしまった
高校生の時のことです。
その日は土曜日だったので、午前中で授業が終わり、家に帰ってきました。
玄関の前まで来て、家のカギを忘れたことに気が付きました。
朝はゴミを出そうとしている母と一緒だったのでカギを閉めなかったために今まで気が付かなかったのです。
呼び鈴を押してみましたが、誰もいません。
弟は学校の部活、母はパートへ行っていて夕方に帰ってくる予定で、休みのはずの父もいなかったので、どこかへ出かけたのでしょう。
まだ携帯電話もない時代だったので、弟や父がいつ帰ってくるかもわかりません。
土曜日でお昼ご飯も食べていなかったので、お腹もすいています。
どこか窓が開いていないかと、家の周りをまわってみると、2階の私の部屋の窓が開いていることに気が付きました。
ベランダに面した大きな窓のカーテンが揺れているのが良く見えます。
仕方がないので、2階へ登ることにしました。通学かばんを玄関わきの目立たないところにおいて、まずブロック塀に昇り、不安定な物置の屋根に登って、ベランダの柵を乗り越えて、窓から私の部屋に入りました。物置の屋根を踏み抜いてしまうのではないかとひやひやしましたが、大丈夫でした。
制服も汚れたり、破けたりしていなかったので、ホッとしました。
通学かばんを回収して終了です。
戸建てなので出来たことですが、誰かが見ていたら、制服のスカート姿の高校生がベランダをよじ登っていると話題になったと思いますが、誰にも見られずに済んだようです。
私服に着替えて、お昼ご飯の支度をしていると父が帰ってきました。
何事もなかったかのように「おかえりなさい。お父さん、出かけてたんだ。」と言うと
「ああ、すぐそこの図書館に行ってたんだ。返す本があったからね。」と言いました。
「そうなんだ。」と言いながら、私はほんの数分、父を待って済むことなら、待っていれば良かったと思いました。
その年の冬に大雪が降り、物置が雪の重みで壊れてしまったので、もう登ることは出来なくなりました。